| |
ヨーロッパ人が最初に茶について記した書物は、1545年頃、イタリア人ラムージオの「航海記集成」といわれ、そこには「中国では国中いたるところで茶を飲んでいる。それは空腹のとき、この煎汁を1、2杯飲めば、熱病、頭痛、胃痛、横腹関節の痛みがとれるという効きめがある。」とあります。この後、茶は、東洋貿易を掌握したオランダの上流階級の間で高級な飲み物として広まっていきますが、当時のオランダの医師ニコラス・ディクルスは「医学論」のなかで、茶について、「茶を用いるものは、その作用によってすべての病気からのがれ、とても長生きができる」とまで記しています。当時の医学レベルを考えても誇大な表現といえますが、ヨーロッパにおいて茶は、当初、くすりというイメージが強かったようです。
イギリスでは17世紀中頃、チョコレートやコーヒー、そして茶などを飲ませるコーヒーハウスが出現しました。1658年9月30日に「サルタネス・ヘッド」というコーヒーハウスが新聞に出した史上初の茶の広告は、「医師が証明した素晴らしい中国の飲みもの」と紹介しています。また、1660年にコーヒーハウス「ギャラウェイ」が店内に貼り出したポスターには茶の効用がぎっしり書かれてありました。これは茶に関する最初のポスターとして有名。広告には『茶を飲めば完全に健康を保って驚くほど長生きできる・・・』ともあり、茶の適応症が細かく記されています。薬として紹介された茶は、次第に嗜好品として楽しまれるようになり、18世紀はじめには、朝食は紅茶とバターつきのパンといった習慣がみられはじめ、18世紀中頃には、1日に何回も紅茶を飲むようになりました。こうして、紅茶はイギリスの生活にとけこんでいきました。
1990年代以降、健康維持に関係する物質として活性酸素と抗酸化物質が知られてきました。活性酸素とは、酸化力の強い酸素で、ストレスなどによって体内で過剰に生成されると、正常な細胞や組織を傷つけ、さまざまな病気を招く原因になることがあるといわれています。抗酸化物質は、この活性酸素から体を守る働きがあるといわれており、必要量を摂取するというこれまでの栄養素の考え方とは違っています。野菜や果物などに多く含まれるビタミンC、E、βカロチン、そして紅茶に含まれる紅茶フラボノイドなどが抗酸化物質として挙げられます。
紅茶は手軽に抗酸化物質を摂取できる飲料として、最近欧米でも注目されています。
| 参考文献: |
中公新書「茶の世界史」 |
角山 栄著 |
| |
ALL ABOUT TEA |
WILLIAM H. UKERS著 |
|